人体姿勢推定における効率的な学習の為の学習サンプル選択

松山洋一 (1251099)


近年,機械学習による物事の認識・判別能力の向上は著しい.これは,インターネットの普及によりデータ収集が容易になり,学習サンプルの種類と数が増加したためである.一般にモデル学習では,サンプルが多いほど学習するサンプルの種類が増え,性能は向上するが,計算コストはサンプル数に応じて増大するため,学習の高速化が求められている.

本稿では学習サンプルを適切に選択し,推定正答率を大きく落とすことのない学習の高速化を提案する.本稿の提案法は,学習サンプルの種類と量に着目する点,様々なモデル学習に適用可能な点,などにおいて従来の手法と異なる. 本稿では,種類と量の問題を含む好例として人体姿勢推定を研究対象とする.

本稿では,サンプルの選択法を2つ提案する. 一つはクラスタリングによる選択で,特徴空間内でのクラスタリングにより,重複的な学習を避ける方法である. もう一つは識別境界からの距離による選択で,識別境界の学習方法に着目した手法である.

これらの手法について実験を行い,実験の結果,統計的なパラメータに基づいた人体姿勢推定の正答率を大きくさげることなく学習時間を65%削減可能であることを示す.