フィードフォワード学習制御の拡張 ― 非線形性と有限零点への対処 ―
松本匡史 (1251098)
フィードバック誤差学習 (Feedback Error Learning: FEL)は,Kawatoらによって提案された運動学習モデルである.
近年このFELの仕組みは線形制御の分野にも導入され,一入出力(SISO)系・多入出力(MIMO)系に対する実装,
線形誤差モデルを用いた学習則,忘却係数付きの学習則など活発に研究が行われている.
以上の手法は,制御対象のモデルを未知ではあるが線形時不変系に固定するため,本研究では固定型FELと呼ぶ.
さらにUshidaらは,固定型でなくJust-In-Time (JIT) モデリングの発想を導入することで非線形性にもある程度まで対処を可能にした.
これらの従来法は,いずれもフィードフォワード制御器を学習によって調整するが,いくつかの制約が課せられていた.
そこで,本研究では従来法の問題点を解消しつつ,1. 制御対象が有限零点を持つ場合,2. 非線形性を持つ場合,
3. 線形近似が零点を持つ場合の3つに対処する.
これらの対処には,それぞれ1. 制御則と学習則の分離,2. Scheduled LWR,3. これら2手法の組み合わせを提案する.
また,従来研究との比較シミュレーションにより有効性を検証する.