拡張現実感を用いたルービックキューブの解法教示システム

橋塚 和典 (1251082)


拡張現実感(AR)は,現実物体へ直観的な情報提示が可能であることから,作業習得のための教示への応用が期待されている. しかし,従来のARによる情報提示の手法は,作業の習得を目的とするのではなく,作業の補助を目的としている例がほとんどである. そこで本研究では,作業を効率よく習得することを意味する教示を目的として,単純な作業の繰り返しであるルービックキューブの解法の習得を目的としたARによる教示システムを提案する. 本論文では,作業中の手などの隠蔽に対して,ルービックキューブの形状と色情報を利用した物体の追跡による頑健なルービックキューブの位置姿勢の実時間推定手法, および,ユーザに解法を記憶し理解させること目的とした情報提示法を提案する.実験では,実際にルービックキューブを解く環境における, 位置姿勢推定の精度の検証し,教示に十分な精度が得られたことを示す.教示法の検証では, 被験者がARを用いてルービックキューブの解法を習得する実験を行い提案手法の有効性を示す. 6人の被験者にARとマニュアルのそれぞれ用いて解法を教示し,習得までにかかった時間を比較した結果, マニュアルの利用時に対し,ARによる教示を利用すると88%の時間で習得が可能であった.