居室利用状況のセンシングに基づく独居高齢者のための見守り支援システム
津田 麻衣 (1251064)
近年,孤独死が高齢者(特に独居高齢者)の間で身近な問題となっている.本研
究では,被監視者の宅内の生活行動(部屋の移動や家電の使用状況など)をセン
シングし,異常の発生を監視者へ通知することを目的とした見守り支援システム
を提案する.既存の見守りに関する研究やサービスでは,センシングを行うため
のセンサの配置場所,個数などについて経験的に決定が行われており,それが実
際にどの程度有効であるかについての検討が行われていない.提案システムでは,
センサ集合から検出される状況の変化(例えば,部屋の移動など)をイベントと
呼び,イベントの発生時刻において,被監視者が正常に生活しているものとみな
す期間(安心期間)を設定する.この安心期間を用いて,特定のセンサ集合によっ
て,どの程度の安心感が得られるかを定量化する手法を提案する.システムを実
環境上で運用するにあたっては,使用するセンサの数をできるだけ減らし,コス
トを削減したいという要求がある.これに対応するため,あるセンサを取り除く
前後で安心期間の被覆率を比較し,取り除いた際の被覆率の減少分が小さいもの
から順に取り除く手法(Greedy法)を考案した.提案手法の評価のため,多種
多数なセンサを設置したスマートハウスで被験者1名に短期間居住してもらい,生
活行動に伴い発生するイベントのデータを収集する実験を行った.そのデータを
基にGreedy法を適用してセンサ数を削減した結果,ランダムにセンサを削除
する手法に比べ,安心期間のカバー率を大きく減少させることなく,約25個のセ
ンサを削減できることを確認した.