この問題に対処するため,本研究では,阿弥陀籤を利用した認証方式を提案する.提案方式では,ある種のチャレンジレスポンス認証を実現している.これにより,従来の暗証カードよりも高い安全性が期待できる.本研究ではとくに,阿弥陀籤が定義する計算の安全性,具体的には,籤によって定義される置換の確率分布について検討を行う.その確率変数が従う確率分布について,横線の本数に関する漸化式を導き,具体的なパラメータを代入して実際に計算を行うことで,エントロピーの計算を行う.計算によると,比較的少ない横線数でエントロピーは最大値に漸近し,阿弥陀籤が十分強力な暗号効果を発揮することが明らかとなった.これにより,提案する認証方式は,暗証カードの代替として十分機能すると考えられる.