プロジェクタカメラ系による見えの制御のための環境光と反射率の同時推定手法
志水友輔 (1251052)
実物体に対して直接光投影を行うことで,人に対するその見えを様々変化させる制御技術が研究されている.
特に,カメラとプロジェクタを組み合わせ,実時間処理を行うことでインタラクティブにその見えの変化を実現できる技術が開発されている.
その一つとして,事前に対象を登録せずとも,投影領域の対象面の反射率を常時推定し,
その見えを任意に制御することができるシステムが提案されている.
しかしながら,環境光一定という条件下のみで動作するため,環境光が変化する使用状況では反射率の推定が不適切に行われてしまう.
そこで本論文では,反射率と同時に環境光も推定する手法を提案し,動的な環境光に適応した見えの制御の実現を目指す.
本手法においては,反射率と環境光の同時推定のために,画素毎に異なる2色の投影値およびその撮影値の組み合わせが必要になる.
ここで,2色の異なる色を高速で切り替えるとその中間色に見えるという「継時加法混色」と呼ばれる人間の視覚特性を利用し,
適切な二つの投影画像を生成することを前提とする.その上で,本研究では,二つの組み合わせによる反射率・環境光同時推定の
可能性を探るために,推定精度と投影精度についての実験をおこなった.その結果,特定の条件下では,環境光と反射率を
95%の精度で推定する事ができた.その結果を用いて,環境光と反射率をそれぞれ制御し,環境光が当たっている状態で
反射率の彩度があたかも変化したように見せることや,変化した環境光を打ち消しつつ反射率を制御する事が可能である事も
確認できた.加えて,色彩除去や光学補正は繰り返し,推定と投影が行える事も確認された.