車車間での渋滞情報共有のためのクラスタリング手法の提案

金丸 洋平 (1251033)


近年,Intelligent Transport Systems (ITS) の分野に関する研究が盛んに行われている. 運転者の負担軽減を目的とした自動運転,走行所要時間や燃費を考慮した走行経路の推薦,道路網のボトルネック把握のためのセンシングなど,その研究は多岐に渡る.これらの技術を実現するための必須要素のひとつが,渋滞情報の共有手段である.自動運転や走行経路推薦といったいずれの応用技術においても何らかの渋滞情報共有手段が必要であり,これを用いて渋滞情報共有を行うことで渋滞の緩和や環境負荷低減といった効果が期待できる.

渋滞情報共有を目的とした研究やサービスはいくつか存在し,それらは既に実環境で利用されている. しかし,例えば市街地において突発的に発生しうる渋滞に関する高精度かつリアルタイムな情報共有を実現するものはない.このような環境における渋滞情報共有手段として車車間で渋滞情報を直接共有することが効果的であると考えられるが,これを実現するには渋滞車列の識別および最も精度の高い渋滞情報を持つ渋滞車列の先頭車両を識別することが必要となる. この問題を解決するため,本研究では同一渋滞列中の車両をクラスタリングするアルゴリズムを提案する.提案手法では軌跡を用いた車列の識別および地理位置を用いた先頭車列の識別を行う.これにより同一車列の車両がクラスタ化され,クラスタ内での渋滞情報共有が実現される.

本発表では,提案手法のアルゴリズムについて述べた上で,提案手法を実装した上でシミュレーション環境において評価した結果,渋滞情報共有手段として有効であることを明らかにする.