ユーザ参加型センシングにおけるゲーミフィケーションを取入れたインセンティブ機構

上山 芳隆 (1251016)


ユーザ参加型センシングでは,ユーザを積極的にセンシングへ参加させるためのインセンティブとして,センシング依頼者が金銭的な報酬をユーザに支払う手法が提案されている.しかし,ユーザを精神的もしくは肉体的に負荷の高いセンシングへ参加させるためには,より強いインセンティブが必要となり,依頼者が支払う報酬額が高騰してしまうという問題が発生する.

本発表では,依頼者が支払う報酬額の低減を目指し,ゲーミフィケーションに基づく新たなインセンティブ機構を提案する.提案するインセンティブ機構では,航空会社のマイレージ制度のように,獲得した報酬ポイントに応じてユーザのステータスが変化するレベル制度を設け,ステータスの高いユーザは低いユーザに比べ多くポイントを獲得できる.加えて,ゲーミフィケーションに基づくユーザ間でのランキング制度やバッジ制度を設け,金銭的な報酬だけでなく,精神的な達成感をユーザに与えることで,センシングへの参加を促す.さらに,依頼者がセンシングしたい地点の集合(PoI)を指定した際に,支払う報酬額が最小となるような依頼先ユーザの集合と報酬額の組を求める問題を定義し,この問題を解くためのグリーディアルゴリズムを提案する.

本アルゴリズムはユーザを選択する際の基準として,ユーザ,報酬ポイント数,センシングの依頼内容の組を確率変数とする,ユーザのセンシングへの参加確率分布を必要とする.この確率分布を求めるために,提案するインセンティブを含む参加型センシングシステムを開発し,被験者 19 名で約 1か月間実験を行った.実験の結果,ゲーミフィケーションに対する関心度が高いユーザや,高額な報酬を提示されたユーザの参加確率は高く,負荷の高い依頼内容を含むセンシング依頼を受けたユーザの参加確率は低いことが分かった.実験結果に沿って定義した参加確率分布を用いて,大阪駅周辺での参加型センシングを模したシミュレーション評価を行った結果,提案インセンティブを用いることで,ゲーミフィケーションが無い場合に比べ最大で27%コストを削減できた.