複数無線チャネルを用いた大容量データ配信手法

稲葉健吾 (1251012)


車車間通信を利用したデータ配信についての研究が盛んに行われている.しかしながら,パケット衝突によるスループットの低下および対向車との通信が困難という技術的課題が残されている.本発表では,VANET(Vehicular Ad-hoc NETwork)における複数無線チャネルを用いたデータ配信手法を提案する.提案手法では,道路を無線電波の到達距離ごとの領域(以後,セルと呼ぶ)に分け,互いに干渉しない複数のチャネルを各セルに順番に割り当てる.複数のチャネルを同時に並行して使用するために,各車両は所属するセルのチャネルを使用して通信することで,パケットの衝突を軽減し,スループットの改善を図る.また,各車両はGPSによる精密な時刻同期の下で,送信待機期間に基づく長さのビーコンを送信し,最も長いビーコンを送信したノードに対して一定期間の送信権を与える.これにより,連続したメッセージの送受信を可能にし,大容量データの配信を実現する.シミュレーションによる従来手法との比較の結果,提案手法は車両密度が高い混雑した状況においても高いスループット性能を発揮できることを確認した.その要因として提案手法による帯域へのアクセス制御方式が効果的に機能したと考えられる.