NAIST-IS-MT1251011: 伊藤峻大郎 物理演算エンジンを利用したタンパク質複合体アニメーションソフトウェアに関する
伊藤 峻大郎 (1251011)
タンパク質の立体構造に関する研究が進む中で蓄積された公共のデータベースを使用してタンパク質の機能を明らかにする研究が 近年活発に行われている. タンパク質の機能を解析する分子動力学等によるシミュレーションだけではタンパク質の相互作用を 実証することが困難なため, タンパク質相互作用の仮説をアニメーション化する需要が増えてきた. 現在, 複数のソフトウェアを組み合わせて 作成する必要があり, 複雑な作成手順による作成効率の低下が問題となっている. そこで, タンパク質の相互作用アニメーションの作成を支援する ソフトウェアが求められるようになった.
このような背景の中で, 本研究はタンパク質複合体アニメーション作成のためのソフトウェアを開発する際に必要となる 要素技術の検討と開発を試みた. 既存のソフトウェアにおけるアニメーション作成に必要な機能や技術を調査し, 機能を実装するためのソフトウェア プラットフォームの選定を行った. そして, スクリプト言語と物理シミュレーションエンジンのOpenDynamicsEngineが組み込れた物理演算エンジンを採用した. 物理演算エンジンを用いて3次元タンパク質モデルの構築機能を開発した. この基本機能に加えて, タンパク質単体の構造変化アニメーションの作成機能, タンパク質複合体アニメーションの作成機能, 衝突判定機能を新規開発したソフトウェアに実装し, 機能の検証としてアクチンとミオシンによる相互作用 アニメーションの作成を行った. その結果, 従来のソフトウェアでは作成が困難だった, タンパク質モデルの形状に沿うような他のタンパク質モデルの動きを 表現する事ができた.