聴覚注意を用いた実環境でのブレインマシンインタフェースに関する基礎検討

石堂なつみ (1251008)


本論文では,人間の聴覚注意能力に着目し,それを用いた実環境におけるブレインマシンインタフェースについて実験的検討を行う.近年,手などを使わず脳活動を外部機器の制御に直接利用するレイン・マシン・インタフェース(BMI) の研究が盛んに行われている.しかしその研究の多くが,実験室などの限らせた環境下でのみ行われており,実環境で使用できるBMI の開発が急がれている.一方で,事象関連電位(ERP) における研究で,人が注意を向けていた刺激が提示された時にのみ確認されるP300 と呼ばれるEEG 波形が確認されている.本研究において私は,人々が家電製品を使いたいと思う時,その対象に聴覚的注意を向けることから,この聴覚刺激駆動の脳波をBMI に利用できないかと考えた.実験は,実験室と日常生活環境を模したBMI ハウスで行い,実験室はある被験者について注意刺激と非注意刺激の反応に大きな違いが見られた.さらに,BMI ハウスでの実験結果は,シングルチャネル識別をマルチチャネル識別に変更することで,識別結果が向上し,実環境におけるマルチチャネル聴覚注意駆動BMI の実現可能性が示唆された.