セルフモニタリング継続のための時空間的な食事行動情報の共有による食事記録支援

石黒景亮 (1251007)


健康管理のために自己の行動を記録・評価するセルフモニタリングは自発的な生活行動改善を促すことで知られている. ネットワークに接続可能なセンシング機器の普及により,体重情報や運動情報は容易に取得可能になってきている. しかし,健康管理を目的としたセルフモニタリングに重要な情報の一つである摂取カロリーに関しては, 食事情報を自分自身で記録する必要があるため,その煩雑さから継続的に記録することは困難である. 本研究は,セルフモニタリング継続のために,食事の場所や時刻といった時空間的な食事傾向を共有することで,食事行動の推定を実現し, 簡便な食事記録を可能にすることよりユーザにかかる負担を軽減する. 食事行動の推定では,記録の簡便化のために食事内容の推定を行い,記録忘れ防止のためにリマインダのタイミング推定を行う. 実験では,提案システムにより収集した食事情報を統計解析した結果,人はそれぞれ時空間的な食事傾向を持つを明らかにした. さらに,食事内容の推定実験より,限られたメニューを提供している食事場所では, 食事内容の提示はランダムに提示するより本手法を用いた方がユーザへの提示が有意に早いことを示した.(5 番以内の場合(p< 0.01),10 番以内の場合(p < 0.01)). リマインダに関する実験では,定期的にリマインダを送信した場合と推定したタイミングによるリマインダを送信した場合の入力率を比較した. 実験結果は定期的にリマインダを送信した場合は61,1%,推定したタイミングによるリマインダを送信した場合は66.0% と,推定時の入力率が高かった. また,アンケートによるユーザ評価では,食事内容推定機能に対して好意的な意見が得られた.シミュレーションにより,食事内容推定の重みパラメータの適切な値の検討を行った.