アンドロイドロボットのための速度と加速度の制約を考慮した表情動作の生成手法

赤本拓也 (1251003)


アンドロイドは外見が人と酷似しており,人と同じような表情を表出すること ができる.しかし,空気圧式アクチュエータを採用しているアンドロイドの表情 は,人間の表情筋のように素早く変位させることができない.人の表情動作をア ンドロイドに表出させた場合,アクチュエータの変位が完了する前に次のフレー ムの動作に移行してしまい,その結果,人の表情動作とは大きく異なったように 見えてしまう. そこで本研究では,アクチュエータの動作可能な最大速度と最大加速度を考慮 して,目標となる表情動作をアンドロイド用に変換することを目的とする.変換 する際の考慮すべき点として,表情の形状を目標となる表情動作に合わせて表出 させることと,動作のテンポを目標となる表情動作に合わせて表出させることの 2 点が考えられる.2 点同時に実現することは不可能であるため,どちらかを選 択する必要があるが,表情の形状か動作のテンポか,どちらに合わせた方が好ま しいのかは表情によると考えられる.そこで本研究では,考慮すべき 2 点に対し て重点を置く度合いを決めて変換する手法を提案する. 実験では,変換した指令値がアクチュエータの最大速度と最大加速度に制限さ れていることを確認した.また,変換した指令値で,アンドロイドに表出した表 情動作についてアンケート調査を実施した結果,提案手法によって表情の識別性 能が向上していることが分かった.