視覚的な自然さを考慮したカメラ位置指示機能を有する実物体のインタラクティブ仮想化システム
野口 悠 (1151081)
近年，Web 上で3 次元モデルを用いて商品を紹介する3D カタログや，拡張現実感技術を利用して部屋の間取りに合わせて家具を自由に配置する家具配置シミュレーションなど，実物体の3 次元モデルを用いた様々なアプリケーションが提案されている．これに伴い，専門知識を持たない一般のユーザでも手軽に，かつ高品質に実物体の仮想化を実現できる手法が求められている．これに対して，実物体を撮影した複数の静止画像や動画像から実物体を仮想化する手法が広く研究されている．しかし，これらの手法は，仮想化の結果が撮影位置に大きく依存する場合が多い一方で，どの位置から撮影すると視覚的に自然な仮想化実物体が得られるのかが直感的に分かりにくいという問題がある．また，植物や毛髪などの微細な形状を含む実物体の自然な仮想化は困難である．本発表では，これらの微細な形状を含む実物体を視覚的に自然な画像として仮想空間内に再現することを目指し，手持ちカメラによって対象を撮影することで一般ユーザでも手軽に物体を仮想化できるインタラクティブシステムを提案する．提案システムは，微小平面を利用したレンダリング手法を利用することで，撮影時点での仮想化結果をリアルタイムで生成する．これにより，毛髪などの微細な形状を含む実物体の高品質な仮想化を実現する．また，テクスチャに基づいて生成される任意視点画像の視覚的自然さに関する基準を定義することにより，視点依存テクスチャの利用に適したカメラ位置の誘導を実現する．本発表では，提案システムを用いた実物体の仮想化について実験的に考察することで，システムの有用性を検証する．