従来のテルペン合成酵素の機能解析では、相同タンパク質との配列アラインメントによってモチーフ特定が行われている。しかし、大量の酵素データを得られるようになった現在では、従来型のモチーフ特定の大規模化ではない新しい発想に基づく解析が待望されている。
本研究では、テルペン合成酵素の網羅的な配列解析による、化合物物性や反応特徴をつかさどるモチーフ探索の手法を提案する。まず、文献情報を基に酵素データの収集を行った。続いて、化合物物性の計算を行い、主成分分析法により化合物の分類分けを行った。分類に基づいた酵素の配列解析から、化合物物性と配列に関係性が見られなかった。一方で、反応特徴を基に酵素を分類分けし、配列解析を行った。その結果、複数のモチーフ候補を決定した。これらの候補には、活性部位に隣接し、ポケットの入り口に位置し、酵素活性に働くと考えられるモチーフ候補も含まれていた。このことから本提案手法を用いての酵素機能の解明に繋がることが期待できる。