テルペン合成酵素の反応分類を用いた網羅的モチーフ探索手法の提案

中谷淳至 (1151139)


テルペンは植物が生産する有機化合物の中でも特に多様な構造と生理活性を持つことから、創薬を始めとする様々な分野で活用されている。このテルペンの合成経路については簡単な経路が既に報告されており、これらを利用して合成がすすめられている。テルペンは植物体内の含有量が少なく、植物からの収量の確保が困難な場合もあることから、新規のテルペン合成手法が求められている。しかしながら、植物の代謝経路は膨大な数が存在し大部分は未解明な状態にあるため、人為的合成のためには生合成や代謝経路の解明が不可欠である。

従来のテルペン合成酵素の機能解析では、相同タンパク質との配列アラインメントによってモチーフ特定が行われている。しかし、大量の酵素データを得られるようになった現在では、従来型のモチーフ特定の大規模化ではない新しい発想に基づく解析が待望されている。

本研究では、テルペン合成酵素の網羅的な配列解析による、化合物物性や反応特徴をつかさどるモチーフ探索の手法を提案する。まず、文献情報を基に酵素データの収集を行った。続いて、化合物物性の計算を行い、主成分分析法により化合物の分類分けを行った。分類に基づいた酵素の配列解析から、化合物物性と配列に関係性が見られなかった。一方で、反応特徴を基に酵素を分類分けし、配列解析を行った。その結果、複数のモチーフ候補を決定した。これらの候補には、活性部位に隣接し、ポケットの入り口に位置し、酵素活性に働くと考えられるモチーフ候補も含まれていた。このことから本提案手法を用いての酵素機能の解明に繋がることが期待できる。