ライフログからの知的生産性に関わる特徴抽出とコミュニケーションパターンの解析

前 佑樹 (1151126)


社員の知的生産性を向上させるためには,企業が彼らの能力を理解し,その能力を発揮できるよう組織を運営していくことが必要である. 従来研究では,知的生産性の評価指標としてアンケート調査による評価やタスク実行時間を用いて,組織のソーシャルネットワーク上において情報を得やすい位置にいる社員ほど知的生産性が高いという傾向が示されている. 本研究では,知識労働者である研究者を対象とし,研究者には従来研究で用いられた知的生産性の評価方法は相応しくなく,それを研究者の閃きによって評価することを考えて時刻情報を含んだ閃きデータを収集した. 同時に収集した時刻情報を含んだライフログから特徴を抽出し,その特徴から閃きの要因が分かれば生産性を向上させるよう社員の日頃の業務を改善できる可能性がある. 特徴として対面のコミュニケーションを表す社員間の近さを抽出し,それを用いて閃きが発生したときとそうでない通常時を識別した結果,五人中二人の社員についてはその特徴が識別に有効であることが示された. また,社員やマネージャーが組織内の社員の振る舞いを俯瞰できるようにするため,各社員について約一ヶ月分の社員間の近さをクラスタリングすることで,社員の典型的なコミュニケーションパターンを可視化した.