分散カメラ間におけるグループ属性を用いた人追跡

守口 裕介 (1151107)


本研究では,視野に重畳のない分散カメラ群によって,広域を移動する人をそれぞれ追跡するために,新たに各人のグループ特徴量を利用する追跡法を提案する.この特徴量は,従来広く研究されてきた人のアピアランス以外の情報を表現している.このようにアピアランスとは独立な特徴量によって,見た目が類似している人の識別精度を向上させる.本発表では,カメラ間の移動においてグループ(行動を共にする1人以上の人の集まり)の関係は変化しないという仮説の下,その人が属しているグループの情報(グループ属性)をカメラ間人同定に用いるために,まず各カメラにおける追跡結果からグループと非グループそれぞれの軌跡同士の関係をSupport Vector Machine(SVM)によって学習,及び新たに得られた軌跡同士の関係を求めグループを検出する手法を提案する.そして,グループ検出の結果から得られるグループ属性からグループ特徴量を算出し,色情報やカメラ間の移動時間を反映させた既存の特徴量と併用することによって,カメラ間で人を同定する手法を提案する.実験では,まず軌跡同士の関係からグループ検出が平均83%の精度で行えることを確認した.また,グループ検出結果から得たグループ属性によってカメラ間人同定の精度が37%増すことを確認した.