ゼブラフィッシュ心臓の非同期連続共焦点顕微鏡像に対する事後同期処理

村瀬英俊 (1151105)


近年,再生医療を実現するために重要な役割を果たすと期待されるiPS細胞が注目を集めている. iPS細胞は,自身を心筋細胞に分化させることもでき, ヒトの主な死因の一つである心疾患を治療できると期待されている. 心疾患を治療可能にする手がかりを発見する目的で, モデル動物であるゼブラフィッシュの心臓の顕微鏡観察が望まれている. しかしながら,既存の顕微鏡技術では心臓の動きに対して十分に速く撮像することができないために, 様々な位相にある心臓の2次元スライスが混合した3次元ボリュームとなってしまう. 全ての高さにおいて,同じ位相にある心臓の2次元画像を選択し, 3次元画像を再構成する方法が報告されているが, 細胞を区別して観察できるシングルセルレベルの高解像度での再構成方法は実現されていない. そこで,拍動する心臓を高解像度で撮像する際に問題となる共焦点顕微鏡の撮像速度を補い,%本研究では, ゼブラフィッシュ心臓を高解像度で観察可能にする同期処理の達成が本研究の目的である.

本手法では,撮像する範囲をブロックで区切ることで,1枚あたりの撮像速度を向上する. この際,各ブロックで撮像された画像をつなぎ合わせるスライスの同期処理が必要となる. その後再構成したスライスを用いて,従来手法と同様の同期処理を行い,3次元ボリュームを得る.

本手法をゼブラフィッシュ幼生の共焦点顕微鏡像1例に適用し,再構成された画像を評価した. その結果,拍動の様子を再現した再構成ボリュームが得られ, 本手法によりゼブラフィッシュ心臓を高解像度で観察可能であることが示された.