センサネットワークにおける受信確認メッセージの集約方式に関する研究

松村 太一 (1151101)


センサネットワークのような一対多のマルチホップ通信において, 基地局からのブロードキャストに対する受信確認を実現するためには, 輻輳や, 中継ノードによる不正への対処が必要となる. 輻輳は, 各ノードが送信する受信確認メッセージにより基地局付近の通信路が混雑する現象であり, 通信の遅延や, 一部ノードの過剰な電力消費等を引き起こす. また, 中継ノードによる不正としては, 自身の下流にあるサブネットワークを不正に制御するため, 子孫ノードの受信確認メッセージを偽造するような行為が問題となる.

これらの問題に対する既存研究では, MACを用いて受信確認メッセージの偽造を防止するとともに, 中継ノードでハッシュやXORによるアグリゲーションを用いて輻輳を抑制している. しかし, これらの手法では受信確認の手順に一部でも不正があった場合, 不正を行ったノードを特定したり, あるノードが正しく受信確認を行ったかどうかを確認するためには, エネルギー消費の大きな検証プロトコルを別途実行する必要がある.

本発表では, 拡散符号を用いて受信確認メッセージを多重化することで, 上記の輻輳の抑制, 中継ノードの不正検出に加えて, 不正ノードの特定が容易な手法を提案する. また, 可能な多重化数, 特定のトポロジを与えた時の通信量, 安全性等を示す. さらに, 通信量や実用上の問題について既存手法との比較を行い, 提案手法の有用性及び課題について述べる.