被災地における無線ネットワーク環境を素早く構築するシステムを目指し,ネットワークノードの配置場所を決定するアルゴリズムを提案する. 無線ネットワークノードを風船に取り付けて建物周囲の空中に配置することで,建物全体をカバーできる無線ネットワークを構築する. 本研究では,無線電波が屋外から屋内へ伝搬する際の電波強度の減衰を求める独自の電波減衰予測モデルおよび無線ネットワークノードの配置場所を求めるアルゴリズムを提案する. ノードの配置で取り組む問題は三次元配置問題であり提案する手法では,カバレッジの保証(対象空間のうち一定の割合以上の空間をカバーすること) を 満たしつつ,必要なネットワークノード数を最小化することを目指す. 本研究では,この問題を解決する手法として遺伝的アルゴリズムに基づくアルゴリズムを提案する. 提案手法を評価するために,3 つのベンチマーク手法と比較を行った. その結果,提案手法がネットワークノード数が他手法と比べて最も少なくなる配置パターンを生成できることを確認した. また,シミュレーションで得られた配置パターンに実際に実機を配置しカバレッジの範囲を測定したところ6%の誤差であることを確認した. 最後に本研究で提案した減衰予測モデルを用いて位置推定の実験を行い,推定誤差が3.86mであることを確認した.