X線透視画像とDRR画像の類似度を用いた腰椎の相互位置・姿勢推定の検討

前田 淳兵 (1151096)


腰椎が原因で起こる慢性疾患の一つに腰椎すべり症がある.これは腰椎が主に前後方向にずれ,神経を圧迫している状態である.この疾患の診断および治療のためには,原因となる腰椎とそれに隣接する腰椎の3 次元的な相互位置関係を正確に把握する必要がある.現在は,X 線透視画像やCT,MRI による断層画像を利用する方法が主流となっている.X 線撮像は,任意の姿勢で撮像できるという特長をもつが,投影される骨像が曖昧なこと,2 次元画像からは3 次元的な構造の把握が困難であるという問題がある.一方,CT やMRI による断層画像は,3次元的に再構成することもでき,腰椎の3 次元位置関係が観察可能であるが,撮像時の姿勢に制約がある.この姿勢における骨や神経の状態は,痛みが発生している状態と異なる場合が多い.本研究は,痛みが生じている状態での直感的な腰椎の3 次元位置・姿勢の把握を目指すものである. 本発表では,任意の姿勢で撮像されたX 線画像中の腰椎の3 次元相互位置関係を,CT の断層画像を用いて生成したDRR 画像という疑似X 線画像との画像類似度を用いて推定する方法と結果について説明する.