Publish/Subscribeシステムにおける計算処理の動的分割再配置手法

福井達也 (1151089)


近年,センサデバイスの高機能化とネットワーク技術の発展により,身近な機器 から得られるセンサデータの活用が可能となった. データの即時性が重要であるセンサデータの配送には,不特定多数のユーザに非 同期でリアルタイムなデータ配送が可能であるPublish/Subscribeシステムが 有用な技術である. Publish/Subscribeシステムを用いることで, ストリームデータとして生成されるセンサデータの配送時に,データ の選別を行うのみでなく,計算処理によるネットワークトラフィックの削 減が可能である. しかし,計算処理を行うにはセンサデータを特定の処理ノードへ収集する必要が あり,データの一極集中に伴う過負荷によって配送処理が継続不能に陥るため, 処理負荷の分散が必要となる. このとき,過負荷は主にユーザの要求が特定の地域へ集中することで起こるため, 地理情報を活かして動的に負荷の分散先を選択することが本課題には有 効だと考えられる. しかし,未だそのような機能を持つシステムは実現されていない. そこで,本研究では地理位置情報を活かし,動的に配送経路の変更や計算処 理の分割を行いデータ配送負荷の分散が可能なPublish/Subscribeシステ ムの提案をする. 提案システムは,センサや処理ノードなどの情報を管理するネットワーク とユーザからの要求に基づいたデータ配送専用ネットワークの2つのオーバ レイネットワークを用いて構成する. これにより,配送負荷を分散を行いつつリア ルタイムにユーザへデータ配送を行うことが可能となる. 本発表では,提案システムをテストベッド環境において実装し評価を行った結果から, 提案システムが多量のデータのリアルタイムな配送に有効であることを示す.