モバイル端末を用いた参加型センシングのための端末内蓄積型センサ情報共有手法

丹羽 絢也 (1151080)


センサを備える高機能な携帯端末の普及と,3Gや無線LANといった無線通信技術の発展により, モバイル端末を用いてセンサ情報の収集と利用を行う,参加型センシングが実用化されている. 本発表では,参加型センシングのための端末内蓄積型センサ情報共有手法を提案する.

ウェザーニュースに代表される参加型センシングを行うサービスは, サービスのユーザが所持する端末を用いて,サービスの提供に必要なセンサ情報を収集する. 既存サービスでは,一箇所のストレージにセンサ情報を蓄積する集中型の蓄積手法を用いている. しかしながら,今後スマートフォンに代表されるモバイル端末のユーザ数は増加する事が予想されており, ユーザ数の増加に伴って増加する,ストレージ容量にかかるコストを分散する事が可能な, 分散型の手法が必要とされる.

提案手法は,ストレージ容量にかかるコストを分散するために, センサ情報を,取得したモバイル端末内にそのまま蓄積する. また,モバイル端末が収集する膨大な数の位置情報の,管理にかかるコストを抑えながら, クラウドコンピューティングを用いる事で, センサ情報取得位置の地理的な偏りに起因する負荷の偏りを平滑化する. さらに, 提案手法にキャッシュ機能を追加する事で, 重複するクエリによるモバイル端末のセンサ情報送信量を削減する.

提案手法を評価するために,シミュレータを実装し実験を行った. 2日間の人の移動を模したシミュレーションにより,センサ情報取得位置を8割以上削減出来る事がわかった. さらに,提案手法にキャッシュ機能を追加する事で,モバイル端末からのセンサ情報送信量を削減出来る事を確認した.