加圧炊飯プロセスの数理モデル化に関する研究
西田 圭佑 (1151078)
従来,炊飯器にはモデルレスのパターン制御が主に用いられてきた.
その理由として,分布定数系としての性質を反映した適切なモデル化が難しいことや,リアルタイムに内部状態を測定できないため同定が困難であるという点が挙げられる.
しかし,制御性能の一層の向上には,モデルの構築が不可欠である.
そこで我々は,炊飯器へのモデルベース制御やモデルベース開発の適用を最終目標として,加圧炊飯プロセスの数理モデル化について検討している.
加圧炊飯プロセスで重要となる現象は米の吸水・ゼラチン化,各部の熱容量・温度変化,釜内部圧力の変化である.
先行研究では,これらの現象をモデル化し,一つに統合した加圧炊飯プロセスモデルを提案しているが,モデルの精度検証は温度に関してのみおこなっていた.
そこで本研究では釜内部圧力の推定精度向上を目的として,炊飯データ計測方法,および沸騰蒸発現象のモデル高精度化について検討する.
まず,モデルの圧力推定精度検証のために,釜内部圧力の計測方法について考察する.
また,調圧バルブ開閉操作に使用されるステッピングモータの駆動信号をバルブ開閉の推定に用いることを検討する.
さらに,沸騰熱伝達率および部分沸騰現象を考慮したモデル拡張をおこない,シミュレーションによってその有効性を確認する.