スライスサイズの小さなIndex-Less型フラッシュ符号の提案と評価

永原 裕之 (1151074)


USB メモリ等で広く使われているフラッシュメモリは,情報の記録操作に伴って信頼性が劣化するという特性を持つ.フラッシュ符号は,フラッシュメモリの消耗を極力回避するような符号化方式を与えることで装置の長寿命化を図るものであり,その性能は write deficiency と呼ばれる定量的指標により測ることができる.大規模なフラッシュ符号の構成に適した方式として,Index-Less Indexed Flash 符号(ILIFC)が提案されている.ILIFCは,最悪時 write deficiency については優れた性能を発揮するが,平均的 write deficiency には改善の余地が大きく,また,きわめて小さな符号化率しか許容しないという問題点が指摘されている.これらの問題の解消には,情報の記録単位であるスライスの大きさを小さくすることが有効であるが,小さなスライスの内部で,どのように符号化を行えば良いか明らかでなかった.本研究では,フラッシュメモリを構成する素子および記録データをパーティションと呼ばれる p 個の部分集合に分割し,各パーティション 内で ILIFC を利用するフラッシュ符号化方式を提案した.これにより ILIFC よりも小さなスライスの利用が可能になり,符号化率の改善も可能になった.また,計算機実験の結果,提案手法の平均的 write deficiency は ILIFC の write deficiency の約 1/p にまで抑制できることが明らかになった.