データセンタネットワークにおける通信状況を考慮した消費電力削減のためのフロー最適化手法の提案と評価

津田 徹 (1151069)


データセンタを取り巻く問題の一つに電力消費量の高騰がある.従来,データセンタ内の消費電力の75%を占める冷却設備,サーバ・ストレージ機器に対する省電力化が取り組まれてきているが,データセンタネットワークにおいても,データセンタの需要増やデータセンタネットワークを利用する機器の増加に伴い消費電力が増加する懸念がある.そこで,ネットワークの負荷状況に応じて特定のネットワーク機器にトラフィックを集約することで,未使用機器を停止し,省電力効果を得る手法が提案されている.しかし,現在までに提案されている省電力化手法は,一定の間隔で取得された情報に基づいてトラフィック集約を実施するのみにとどまり,情報の反映速度や新規フローの可用性の問題がある.本論文では,データセンタネットワークの省電力化における可用性を高める手法を提案する.具体的には,ネットワークトラフィックの可用性を考慮しつつ,ネットワーク全体の省電力化を実現するイベント駆動型トポロジ反映手法を提案する.さらに,提案手法の有効性を評価するために,提案機能を実装し,エミュレーション環境上で評価実験を実施した.その結果,従来手法に比べて省電力効果が最大20%ほど向上することを確認し,ネットワーク全体の一定の可用性を保証できることを確認した.