本論文では,線形システムの入力と出力が共に多様体上に拘束される高次元データとして取得される場合のシステム同定問題を考える.このとき,次元削減法の一手法である多様体学習を用いてあらかじめデータの低次元表現を得ておき,それを用いてシステムを同定することが有効である.しかし,多様体学習は一般に教師なし学習であるため,入力データと出力データの低次元表現をそれぞれ独立に求めた場合,システム同定に適した表現が得られない可能性がある.この問題に対して本論文では,システム同定に適した低次元表現を求めるため,低次元表現間が従うダイナミクスを考慮した入出力データの同時多様体学習(入出力多様体学習)法と,それを用いたシステム同定法を提案する.人工データを用いた数値実験により,本手法が高次元データに対して精度よくシステムを同定することが可能であることを確認した.