断端形状変化に基づく操作方式の対向3指型作業用電動義手

田口裕也 (1151064)


前腕切断者が選択可能な作業用義手には,能動義手と筋電義手がある. 能動義手は,フック状のハンド(能動フック)による精緻な作業が可能である. 一方,筋電義手は人間の手と同等の外観を有し,前腕部の筋電を信号源として自然な操作感が得られる. 短所は,重量の重さと,価格が高価である点である. これらの作業用義手が抱える課題から,前腕切断者の多くは作業用義手を選択せず,機能 性を持たない装飾義手を使用している.

本論文では,これらの作業用義手の利点を兼ね備えた,作業性と操作性を両立する作業用義手を開発する. 対向に配置した3指を有する電動義手を提案し,能動フックの利点を残しつつ作業性の向上を図る. 開閉機構はシンプルな構造とすることで,軽量,低コストを実現する. 開発義手の操作には,筋活動による断端の形状変化に基づいた操作システムを使用し,筋電義手のような自然な操作感を実現する. 開発した作業用義手の機能評価には,実際の前腕切断者によるSHAPを用いた上肢機能評価テストを行う. 評価結果から,開発する作業用義手の有効性を示す.