高齢者の発話機会の増加を目的としたソーシャルメディア仲介ロボット
高橋達 (1151061)
超高齢社会を迎えた日本において,独居高齢者の社会的孤立が問題となっている.
社会的に孤立した高齢者は,日常的に話す機会を喪失し,発話機会が不足することは,鬱や認知症等の様々な病気の一因となると考えられている.
そのため,社会的に孤立した高齢者の発話機会を増やすための対策が重要な課題となっている.
本研究では,高齢者の発話機会の増加を目的に,リアルタイム性の高いソーシャルメディアと高齢者を,身体性のあるロボットが仲介するシステムを提案する.
ソーシャルメディア上のコメントをロボットの発話文として用い,さらに,高齢者の発言を提案システムが収集・認識し,ソーシャルメディアへ投稿する.
これにより,社会的孤立が問題となっている高齢者が,意識せずソーシャルメディアに参加することが可能となる.
高齢者がソーシャルメディア上の活発な交流にユーザの一人として参加可能となることで,高齢者の発話機会を増加させる.
本発表では,提案システムの有効性を検証するために,提案システムを用いたテレビ視聴の検証実験を行う.
人が一人,人が二人,人とロボットで提案システムテレビ視聴した場合の被験者の発話量の比較を行った結果,
発話量の増加に一人よりも提案システムを用いることが妥当であることを明らかとなった.
次に,単体または複数台のロボットによりソーシャルメディアを仲介した場合を比較し,人対単体・複数ロボット対話が高齢者の発話機会に与える影響を明らかにする.
これらの結果を受けて,高齢者のデジタルデバイドと,ロボットの自然な文脈の発話文生成が困難である従来の問題を解消し,利用者の発話機会の増加が可能となることを示す.