DDoS攻撃は深刻な脅威であるが,現在一般的に実施されているDDoS攻撃対策は,標的サーバーまでの経路上の負荷については考慮していない,意図的もしくは誤って攻撃の意図のないパケットを破棄してしまうことがある,DDoS攻撃対処について攻撃者が容易に知ることができる,等の欠点があり,これらを考慮した対策が必要である. そこでパケットを大量に送信するサーバーの近くのノードに囮となるサーバーを配置し,そこで攻撃を受けさせる.これにより正常なトラフィックには影響を与えずに,標的サーバーおよび,その経路に対するDDoS負荷を低減させること,またその際,Locator/ID Separation Protocol (LISP) を用いることで対処後のシステム構成について秘匿することを提案する. これに基づき,本提案を実現するためのマップテーブルをLISPのマップテーブルとは別にマップサーバーに組み込み,この2つのマップテーブルを利用することで本来のLISPの動作をさせつつ,DDoS攻撃対処も実施できるシステムのプロトタイプを開発した.このシステムについて高負荷環境で実験し,提案が実現可能であることを確認した.またこの結果について考察し,解決すべき今後の課題とその解決方針を提案する.