拡張自由視点画像を用いた移動ロボットの遠隔操縦インタフェース

上田 優子 (1151019)


本発表では,人間が立ち入ることが難しい極限環境や遠く離れた場所に配置し た移動ロボットを安全に操縦するための新しいロボット操縦インタフェースを提 案する.ロボットを遠隔地から操縦する際,操縦者はロボットに搭載されたカメ ラからの映像などをもとに遠隔地の状況を把握する必要がある.このような場合, ロボットに搭載されたカメラで獲得される映像をそのまま提示する主観視点映像 による操縦インタフェースが広く用いられている.しかし,主観視点映像による 操縦インタフェースには以下の問題がある.(1) ロボット自身が遮蔽物となり死 角が生じる,(2) ロボットと周辺物体との距離の把握が難しい.これらの問題を 解決するために,ロボットを後方から眺めた客観視点映像を提示する操縦インタ フェースが従来提案されているが,観察視点位置がロボットの後方に固定されて いるため,操作上重要となるロボットの進行方向に関する上記の問題(1),(2) は解 決されない.そこで本研究では,操縦者自身が頭の動きによって観察視点位置の変 更を可能とすることで,ロボットの進行方向を含む周辺状況の把握を容易にする 操縦インタフェースを提案する.ロボットと周辺物体との距離の把握を十分に行 える視点への観察視点位置の変更を可能とすることで,従来の操縦インタフェー スにおいて観察視点位置が固定されることで生じていた(1),(2) の問題を解消す る.本研究では,観察視点位置の変更を実現するために,全方位カメラと距離画 像センサ4 台をロボットに搭載し,各センサから得られる全方位画像と三次元点 群を用いた自由視点画像生成を行う.生成した自由視点画像は操縦者が装着する ヘッドマウントディスプレイに提示され,観察視点の位置・姿勢を操縦者の頭部 位置・姿勢と連動させることにより,直観的な視点位置の変更を実現する.提案 手法の有効性を検証するために,まずシミュレーション環境において主観視点映 像,客観視点映像,自由視点映像を提示する操縦インタフェースを用いて操縦実 験を行った.次に,実際に拡張自由視点画像による操縦インタフェースを用いた 移動ロボット遠隔操縦システムを試作し,実環境における被験者実験を行った. 実験より,自由視点画像生成を提示画像とした操縦インタフェースは従来インタ フェースと比較し,ロボットと周辺環境との距離の把握が容易に行え,操縦の正 確性の面で優れていることを確認した.