時空間整列カーネルによる姿勢変化に頑健なsEMG動作識別

井林 雅樹 (1151003)


本論文では,表面筋電位(Surface Electromyogram: sEMG)信号に影響を及ぼすユーザの姿勢変化に頑健な動作識別を可能とするカーネル関数を提案する.sEMG信号は多く動作情報を含んでいる.先行研究ではsEMG信号からユーザの動作意図をパターン認識手法によって抽出し,制御信号へ変換させるンターフェースの開発が行われてきた.しかし,電極と対象筋の相対的な位置関係を変化させる姿勢変化のような状況において,安定した識別精度を示した報告は少ない.提案手法では時空間伸縮可能なカーネル関数を示し,このカーネルを用いることで単一動作で観測されるsEMG時系列データに対して,ユーザの姿勢に影響されない識別器を構成する. 5人の被験者によるオフライン動作識別実験の結果,提案手法は姿勢変化時において動的時間伸縮法を用いたカーネル(Gaussian Dynamic Time Warping Kernel: GDTWK)と積分筋電位信号とケプストラムの特徴量を用いた一般的なガウスカーネルより優れた識別性能を示した.