本研究では,ペアリングの並列実装に関して,実装実験を通してペアリングパラメタである超楕円曲線や,その曲線の定義体,或いはペアリングの計算に必要な拡大体の構成等, 高速に並列実装出来るパラメタの決定を目的とし,実際にある$\eta_T$ペアリングの並列実装に適したパラメタを示した.更に,並列に効率的な乗算が行える拡大体の構成への基底変換を 適用することにより,$\eta_T$ペアリングの高速な並列実装を提案した.又,その基底変換について,高速な変換行列の求解アリゴリズムを提案し変換コストについても考察を与えた.
本発表においては,$\eta_T$ペアリングの並列実装に関して,特に提案手法である拡大体の乗算の並列化と,$\eta_T$ペアリングの並列化に適した構成を具体的に示す.又,その並列実装 のシミュレーション結果を示し,拡大体の基底変換により高速な$\eta_T$ペアリングの並列実装が行えることを示す.更に,基底変換の探索について,normal basisを用いた提案手法と そのシミュレーション結果を示す.