遠隔ユーザ間での動画同時視聴を目的としたグループ作成支援システム

池田 惇耶 (1151008)


本研究では,遠隔地にいる複数のユーザ同士がネットワークを介して,所有し ている動画を同時視聴することを支援するシステムを提案する.動画の視聴時, 1人で視聴するよりも複数人で視聴することで共感や一体感といった付加価値 が得られる.近年,ネットワーク技術の発達に伴い,YouTubeやニコニコ動画 など,ネットワーク上で動画の視聴を行うサービスが提供され,限られたネッ トワーク資源の範囲内で,効率的に動画配信するための研究が行われている. しかし,``いつ,誰と,何を見るか''という複数人で同じ動画を視聴すること を支援する方法は提案されていない.ネットワーク上に存在する不特定多数の ユーザの不特定の情報から,自分が視聴したい動画を同じ時間に視聴出来るユー ザを見つけ出すことは難しい問題である. 本研究では,SNS上で交流関係がある多数のユーザから所有動画や好み,空き 時間などの情報を収集し,出来るだけ多くのユーザが満足するような同時視聴 グループを求める方法およびシステムを提案する.その際の課題として挙げら れるのが,(1) ユーザが所有する動画や空き時間などに関する情報の収集方法 と,(2) 満足度が高くなるようなユーザ間のマッチング方法である.課題(1) を解決するため,SNSの1つであるTwitterを利用した情報交換システムを構築 した.Twitterには,(i) 交流のあるユーザ間でゆるい繋がりを持っており, それらの交流ユーザ間でリアルタイムな情報交換が可能, (ii) 自分が受信し た情報を他のユーザへの再配布により拡散が容易, (iii)Twitter上で流れて いる全ての情報から自分が欲しい情報の検索・取得が可能といった利点が存在 する.それらの利点を上手く活用し,ユーザ同士の情報のやり取りやメッセー ジの監視を自動で行うシステムを構築する事で課題(1) を解決する.また,課 題(2)を解決するために,各ユーザの興味のある動画,および動画視聴環境 (ネットワーク帯域など),SNS上でのユーザ同士の関係性などの情報をもと に,最適な同時視聴グループを算出するアルゴリズムを考察し,グループの構 築をシステムで自動で行う. 提案手法の有用性を確かめるため,構築 したシステムをアンドロイド端末上に実装し,実際にグループの形成を行う実 験を行った.システムの比較対象として,メールによるグループ構築と比較し て,本システムの有用性を評価した.\\ 結果,提案システムを用いることで, 時間が45分と,e-mailを用いた場合 より74%削減され,動画視聴グループに参加できた数も4名増えて8名となり, より満足度の高いグループを形成できることを確認した.