航空写真上の高度が未知の参照点を用いたPnP問題の解決による地上撮影画像からのカメラ位置・姿勢推定
関井 大気 (1051202)
デジタルカメラや携帯電話に内蔵されたカメラで撮影された画像の撮影位置・姿勢情報は,画像による三次元計測や拡張現実感によるヒューマンナビゲーション・景観シミュレーションなど,カメラ位置・姿勢に依存したアプリケーションにおいて必要不可欠である.これらの応用では,高精度な6自由度のカメラ位置・姿勢推定を実現する必要がある.広域屋外環境下で撮影された地上撮影画像に対するカメラの絶対位置・姿勢推定手法は多数提案されているが,カメラ位置・姿勢の推定精度が不十分であったり,使用する環境に対する事前準備のための人的コストが大きいといった問題があった.これに対し,既に比較的広域のデータが存在する航空写真を事前知識として,特別な準備なしに地上撮影画像からカメラの位置・姿勢を推定する手法が提案されている.しかし,航空写真を用いる従来手法の大半はカメラの姿勢や使用する環境に制約を与え,カメラ位置・姿勢を3自由度で推定しているため,6自由度でのカメラ位置・姿勢推定が必要な拡張現実感や画像による三次元計測への応用は難しい.そこで本研究では,航空写真における高度が未知の二次元の参照点と地上撮影画像上の対応点から,画像中の重力方向の直線と対応点の間の再投影誤差を最小化することで,地上カメラの相対 高度,航空写真上の二次元の絶対位置および絶対姿勢を6自由度で導出するPnP問題の解法を提案する.また,実環境における推定の高精度化を目的として,既知の重力方向を用いたカメラ位置・姿勢の推定手法についても述べる.実験では,シミュレーションおよび実環境の地上撮影画像と航空写真を用いた実験を行い,従来手法と提案手法の推定精度を比較することで,提案手法の有効性を示す.また,インターネット上に存在する画像に対して提案手法を適用し,CGを重畳合成することで,実際に拡張現実感への応用が可能であることを示す.