安全確保速度によるドライバの交差点通過行動の安全度評価に関する研究

吉田 陽祐 (1051125)


安全確保速度(HAS)は無信号交差点通過時における予防安全面での運転技能を客観的かつ定量的に評価する指標としてこれまで研究が進められてきた.しかし,これまでの研究では評価の対象とした被験者が少なかったことや他の評価方法との比較が無かったことから,どのような特徴をもつ評価指標であるかが分かっていない.

本研究では,運転技能評価指標としてのHASの特長や問題点を調べるために,一般ドライバ38人を対象とした公道上での実走行実験を行った.これにより得られた運転行動データを用いた解析を行ったところ,HASによる評価の傾向が明らかとなった.また,この評価結果を,運転技能評価のプロである自動車教習所の指導員による評価結果と比較したところ,両評価結果が概ね一致した.このことから,HASを用いることで,教習所指導員と同等の運転技能評価を行うことができることが分かった.また,両評価結果に差が生じた運転行動データに関しては,指導員が評価の際注目したポイントを運転行動プロフィールと比較することでその原因を調べた.その結果,教習所指導員による評価と比較したときのHASによる運転技能評価の優位性や問題点が明らかとなった.