DTNにおける優先制御と流入制御を用いたバッファ管理手法の提案
森山 京平 (1051117)
災害時など断絶や遅延が多発する環境における通信手段として、DTN技術が研
究されている。移動ノード間の直接的な情報交換に基づくDTN通信では、通信成
立のために多ノードへのメッセージ伝播が必要となる。このとき、各ノードには
重複メッセージが存在し、それは通信成立後にも残留する。メッセージ送信回数の
増加が通信の成功率の向上につながるが、過度なメッセージ増加はノードのバッ
ファあふれと輻輳の発生を引き起こす。そこで、輻輳回避の通信制御方法が研究
されている。その手法のひとつとして、通信成立後の残留メッセージを削除する
Vaccine 手法が提案されている。Vaccine 手法では、宛先へ到達したメッセージを
伝えるためにanti-packet と呼ばれる小メッセージを伝播する。anti-packet を受け
取ったノードは残留メッセージを発見して、削除する。このとき、anti-packet の伝
播が残留メッセージの削除効率に影響する。現在のVaccine 手法では、anti-packet
と通常メッセージは同等に扱われている。そのため、輻輳状態ではanti-packet の
伝播が阻害される問題がある。そこで、本研究では、Vaccine 手法の輻輳状態で
の通信性能向上のために、anti-packet の優先的配送制御と通常メッセージの流入
制御の複合手法を提案した。シミュレーション結果から、本提案手法が輻輳状態