鏡面反射物体を含む画像を用いたカメラの位置姿勢推定
森 健太郎 (1051113)
近年,現実空間に対してCGなどの仮想物体を重畳表示する拡張現実感の研究が盛んに行われている.拡張現実感を実現する上で,現実空間と仮想物体の位置合わせは大変重要な問題であり,これまでに様々な研究が行われてきた.その中でも,もともと現実空間に存在する特徴的な点や線などの自然特徴を用いる手法は,人工マーカを現実空間内に設置する必要がなく,位置合わせ可能な領域に制限がない上に,現実空間の景観を損ねることなくカメラの位置姿勢推定ができる.しかし,鏡面反射特性を持つ物体からは安定した自然特徴が得ることは難しく,そのような物体が存在するシーンでの自然特徴を用いた位置合わせは困難である.本研究では,鏡面反射のハイライトに着目し,そのシーンにおけるハイライトをGPUを用いてCGでシミュレーションし,それを基に追跡処理を行うことでカメラの位置姿勢推定を行った.実験では,理論上,提案手法を用いてある一定の精度でカメラの位置姿勢推定ができることを示した.また,実際に撮影した動画に対して提案手法を適用し,実環境でも有効であることを示した.