多地点X線透視画像からの腰椎の3次元相互位置・姿勢推定

的場倫子 (1051104)


腰椎が正常な位置からずれ,神経を圧迫し痛みを引き起こす腰椎すべり症という疾患がある. この疾患の診断および治療のためには, 原因となる腰椎とそれに隣接する腰椎の3次元的な相互位置関係を正確に把握する必要がある. 腰椎の相互位置関係を把握するための方法として, 現在はレントゲン撮影によるX線透視画像やCT, MRI撮影によるX線断層画像の利用が主流となっている. レントゲン撮影は,任意の姿勢で撮影できるという特長をもつが, 投影される骨像が曖昧なこと, 2次元X線透視画像からは3次元的な構造の把握が困難であるという問題がある. 一方,CTやMRI撮影は取得された断層画像を3次元再構築することで腰椎の3次元位置関係を観察可能だが, 撮影時の姿勢に制約があるため撮影時における骨や神経の状態は痛みが発生している状態と異なる場合が多いという問題がある. そこで,本研究では,任意の姿勢で撮影されたX線透視画像中の腰椎の3次元相互位置関係をCTから生成される3次元形状モデルを用いて推定することで,痛みが生じている状態での直感的な腰椎の3次元位置・姿勢の把握を実現する.ただし,レントゲン画像中の骨像は曖昧であり,また,レントゲンのX線透過率とCTから3次元形状モデルを生成する際の透過率を一致させることは難しい.これらの問題を解決するため,本研究では複数地点から撮影されたX線透視画像を用いて推定することで,生成される3次元形状モデルやX線透視画像から抽出される輪郭情報に誤差が含まれる場合においても腰椎の3次元相互位置関係を高精度に推定する. 実験では, シミュレーションによる腰椎の3次元位置推定精度を定量評価することで, 提案手法の有用性を検証した.