DTN環境を考慮した高密度センサネットワークにおける収集率に応じたセンサデータ収集手法の提案と評価
松高 聡史 (1051101)
近年, 小型化されたセンサが様々な場所に設置され, 温度や雨量だけでなく, 二
酸化炭素濃度や窒素酸化物濃度など様々なセンサデータを生成し続けている. 生
成されたセンサデータは環境問題やより高精度な気象予報のために利用されてい
る. しかし, センサを高密度に設置し, 様々な地点の環境を測定する場合, 有線通
信ではセンサの設置位置の柔軟性が損なわれる問題があるため無線通信が用いら
れる.
しかし, 無線通信を用いた場合でも通信を行う際に互いに通信有効範囲内に存在
しなくてはならず, 自由にセンサノードを設置するという要求に答えることができ
ない. そのような要求に答えるためにDelay/Disruption Tolerant Network(DTN)
環境でのセンサデータの収集に注目が集まっている. DTN 環境でのセンサデー
タの収集手法は移動ノードがシンクノードの役割を担うことで, センサノード同
士が常に通信有効範囲内にいない場合でもセンサデータの収集が可能となる. し
かし, DTN環境ではすれ違い通信を用いてセンサデータを収集するため通信資源
に限りが存在する. また移動ノードの数, 移動経路に応じてセンサデータが収集
の容易なセンサノードと収集の難しいセンサノードが生じる. そのため, センサ
ノード毎にセンサデータの収集量に偏りが生じるという問題がある. 本研究では
DTN 環境におけるセンサデータの収集率に応じたセンサデータの収集手法を提
案し, シミュレーションによる評価および実環境における有効性を確認するため
に実証実験を行った. 本提案は, 過去のセンサノード毎のセンサデータ収集率から
センサノードを分類し, センサノードの拡散に閾値を設けることで, 拡散すべきセ
ンサデータの取捨選択を行う. これにより, 必要以上の通信を抑制し, 収集の難し
いセンサノードが生成するセンサデータの収集量が向上することを確認した. ま
た, 実証実験を行い, 実環境においても本提案によるセンサデータの収集のが有効
であることを示した.