シルエット制約とテクスチャ整合性の統合による効率的な3 次元形状最適化
松田 一樹 (1051100)
複数視点カメラ画像を入力とする3次元形状復元,特に凹凸を含む複雑な形状や,テクスチャが存在しない領域を含む対象において,大きな復元誤りの発生を抑えながら,テクスチャ欠損領域でも安定かつ高速に形状復元できる手法を提案する.提案手法は,シルエット制約を利用した視体積交差法と,フォト・コンシステンシーを利用したステレオ視によって独立に得られた表面点群を適切に取捨選択することで最終的な形状を得る手法である.これにより,視体積交差法の欠点であるゴーストボリューム発生と,ステレオ視の欠点であるテクスチャ欠損領域での復元失敗を抑えつつ,3次元空間全体のテクスチャ整合性を網羅的に最適化する従来法と同程度の復元精度を,より効率的に得る事が出来る.形状の各領域において,ステレオ視から得られた点群または視体積交差法から得られた点群のいずれかを選択する問題を,二値の最適化問題として考え,Graph-cuts アルゴリズムを利用して解くことで,大域的最適解を実現する.最適化では,ステレオ視から得られた点群と視体積交差法から得られた点群の遮蔽関係や,法線のなめらかさ,点群の空間的な距離といった整合性を評価する.実験の結果, 1)従来法では大きな復元誤差が発生する複雑な形状に対しても,真の形状に近い安定した復元を可能とすること, 2)テクスチャが欠損した領域を含む物体に対しても,安定した復元が可能であること, 3)同様の大域的最適化を行う場合において,100倍程度の高速化が可能であること,を確認した.