不具合割当パターンを用いたOSSの不具合修正時間の予測
正木 仁 (1051098)
近年,大規模オープンソース(OSS) プロジェクトには,大量の不具合が日々報告されている.
報告された不具合のすべてを修正することは現実的ではないため,プロジェクト管理者は次期バージョンのリリースまでにどの不具合を修正すべきかを取捨選択する必要がある.
しかしながら,不具合の修正範囲の大きさや問題の複雑さの違い,ボランティアを主体とする開発者のスキルセットの違いなどの要因によって,個々の不具合の修正時間を見積もることは容易ではない.
そのため,オープンソース開発における不具合修正時間の予測に関する研究が盛んに行われている.
本発表では,不具合割当パターンを用いて不具合修正時間の予測モデルを構築する.
不具合割当パターンとは,不具合修正タスク割当時の不具合報告者・管理者・修正担当者の3 者の社会的関係を分類したものである.
不具合割当パターンの違いにより,修正作業に取り掛かるまでの時間及び修正作業自体に要する時間はそれぞれ大きく異なることが知られている.
従来研究の多くは不具合情報のみに基づいて予測モデルを構築しているが,不具合管理パターンを考慮することでさらなる予測精度の向上を期待できる.
本研究では,Eclipse Platform を対象として構築した予測モデルの評価を行った.
実験の結果,構築した予測モデルが予測精度向上に寄与するとともに,指定期間内(1 週間など)に不具合修正が完了するか否かの管理者の判断を支援できることが分かった.