連続時間非線形有限時間整定制御における整定時間設計法の開発

藤井裕大 (1051093)


連続時間非線形有限時間整定制御は,状態が有限時間で目標状態に整定することを保証する制御法であり,近年非線形制御理論の分野で盛んに研究されている.この制御法は,外乱のもとでも高速かつ高精度な目標値追従を実現することが知られており,1リンクロボットマニピュレータの位置決め制御では,従来の指数安定化制御より高精度な位置決めを実現できることが明らかになっている.

しかしながら,連続時間非線形有限時間整定制御において所望の時間での整定は実現できていない.そこで本研究では,連続時間非線形有限時間整定制御における整定時間設計法を開発し,多重積分系に対して所望の時間で整定する連続時間非線形有限時間整定制御の制御系設計を実現する.

本発表では,まず2重積分系に対して所望の整定時間で整定する制御則設計が難しいことを述べる.次に,既知の連続時間非線形有限時間整定制御則を時間と座標の同時変換により変更することで,多重積分系に対して所望の時間で整定する連続時間非線形有限時間整定制御則を提案する.最後に,2重積分系に対して提案法を適用し,コンピュータシミュレーションにより所望の整定時間で整定することを確認する.