学習則の射影に基づく独立成分分析-ブラインド同定と外乱抑制制御への応用-

広谷 拓也 (1051089)


近年,混合された観測信号を分離することで源信号を推定する,ブラインド信号分離に関する研究が頻繁に行われており,信号の独立性に着目した独立成分分析が主な解法として用いられている.とりわけ,畳み込みが伴って混合した信号の分離は困難とされており,そのような問題に対しては多数の遅れ要素を直結したFIRフィルタ型の分離系を設計する,近似的な解法が従来から提案されている.しかしながら,システムに注目するのであれば,適当な次数のIIRフィルタ(フィードバック構造を持つ)によって分離系を設計できればより望ましい.そこで本論文では,適当な次数のIIRフィルタを設定し,従来のFIR近似法における分離系学習則を,IIRフィルタの空間に射影することで,分離系をIIRフィルタとして設計する手法を提案する.
さらに,独立成分分析をブラインドシステム同定に適用し,同定した結果を用いて対象の外乱抑制制御を検討する.独立成分分析における不定性を,既知の制御入力の情報を用いることである程度除去し,そのうえでロバスト制御理論をもとに外乱抑制制御系設計を行う.そして本研究では,その有効性を実機実験によって検証する.