テストタイミングを考慮した高品質遅延テストのためのテスト生成

西原有哉 (1051081)


本論文では,システムクロックより高速な複数のテストクロックを用いて遅延テストを行うfaster-than-at-speed testのためのテストクロック決定方法およびテストパターン数削減方法を提案する.半導体製造プロセスの微細化に伴い,微小な遅延を発生させる欠陥が増加している.製造テスト時に見逃された微小遅延欠陥は,出荷後の製品に初期不良をもたらす可能性がある,また,フィールド使用時の経年劣化による遅延増加は,突然のシステム障害を引き起こす可能性がある,このため,欠陥や劣化による微小な遅延増加を検出可能とする,高品質な遅延テストが求められている.微小遅延欠陥検出のためのテスト手法としてfaster-than-at-speed testが提案されているが,高いテスト品質の実現のためには(1)多くのテストクロック(複数のテストタイミング)が必要,(2)テストパターン数が多くなるという問題点がある.本論文では,使用可能なテストクロック数が与えられた際に微小遅延欠陥に対し高いテスト品質を実現するためのテストクロックタイミング決定方法を提案する.また,微小遅延欠陥に対するテスト品質制約下でのテストパターン数削減方法も提案する.ベンチマーク回路を用いた実験では,微小遅延欠陥検出能力とテストパターン数について評価し,提案手法が有効であることを示す.