脊髄損傷マウス回復評価自動化のための後肢モーションキャプチャシステムの開発

中村 彰宏 (1051076)


近年,脊髄損傷に対してさまざまな治療法が提案され,マウスやラットなどの実験動物を用いて盛んに研究が行われている. しかし,それらの研究における回復の評価は Basso-Beattie-Bresnahan(BBB) スコアと呼ばれる指標を用いた人間の目視によるものが主流であり, 複数の治療法の効果比較や長期間にわたる回復の観察のためには,客観的でより人間の負担の少ない評価法が必要とされている. そこで本研究では,評価コストの削減及びスコアリングの客観性の向上を実現する自動評価システムを開発した.

BBBスコアは回復の程度によってマウスの後肢動作量・前肢後肢の協調性・尻尾の状態など着目する点が異なる. 本研究では,既存の自動評価手法が特に不得意とする回復の初期,後肢動作量に着目する段階を自動化の対象とした. 後肢動作量計測のため,脊髄損傷マウスに対するKinectを用いた後肢モーションキャプチャシステムを開発し,取得した動作量を用いての自動評価システムを実現した. システムの有効性を示すため,真値が既知であるシミュレーションによってスコアリングの実験を行い,およそ80%の正答率を得る事ができた。