生成語彙論に基づく日本語の特質構造のランキング学習による自動獲得
常吉 高弘 (1051071)
本論文では,与えられた名詞に対する目的役割と主体役割を自動で獲得する手法を提案
する.目的役割,主体役割は,Pustejovskyによる生成語彙論の特質構造とよばれる知識
表現を構成するものであり,それぞれ,対象概念の目的や機能,対象概念の発生や起源
に関する事柄を記した語彙知識である.これらの語彙知識は,意味解釈や情報獲得に有
用なリソースである.
先行研究では,目的役割,主体役割は,リッカート尺度などの程度を表す尺度でアノテ
ーションされているが,2値分類問題に帰着して解くなど,順位尺度である特徴を利用し
ていない.また,日本語で特質構造を自動獲得する研究は存在しない.そこで,提案手
法は直接的に順位尺度である特徴を利用し,ランキング学習を用いて日本語で特質構造
の自動獲得をする.実験では,獲得タスクについて,順位相関係数を用いて評価した.
その結果,我々の提案手法は,2値分類を用いたベースラインの結果を上回り,ランキン
グ学習の有効性が示された.