データマイニングを利用した一般血液検査からの膵癌診断スクリーニング
田中 達規 (1051066)
膵癌は消化器癌の中でも難治癌の代表で、死亡原因も上位に位置している。
また早期に再発・転移を生じることが多く、医療現場では膵癌の早期診断法が必要とされている。
現在の膵癌診断の検査項目は、画像診断、血液・血清生化学検査、腫瘍マーカーテストが利用されている。
中でも膵癌の診断特定に大きな原因を与える検査は画像検査と腫瘍マーカーだが、
これらは診断フローの後半部分で、初期段階での血液検査から医師が膵癌疾患を特定することは
現状では困難とされている。
そこで本研究ではAlb、HbA1cなど一般的な血液検査項目に対してデータマイニング技術を利用し、
膵癌診断スクリーニングの確立と疾患発症に関連の高い検査項目の発掘を目的としている。
本研究では3ヶ月という時系列内での9項目の血液検査データを対象として、
膵癌患者と非膵癌患者のデータを収集した
。本論文では先行研究を参考に、(1)検査値の時系列変化を考慮したデータ収集法、
(2)欠損値処理、(3)判別分析手法、(4)分析精度の評価手法をそれぞれ数種類で判別精度を比較し、
最適法の導出・考察を行った上で膵癌診断スクリーニング法を行う。
また判別分析とともに影響ある検査項目の抽出を行い、膵癌患者の血液検査データの特徴を捉える。
判別精度は感度が約0.75、特異度が約0.9という結果であった。
膵癌診断スクリーニングとして有効な検査項目、マイニング技術について本研究では論述する。