複数モバイルプロジェクタカメラシステムの投影映像を利用した相対位置姿勢計測
田中泰史 (1051065)
本論文では, 複数台のモバイルプロジェクタカメラシステムの相対位置姿勢計測をカメラとプロジェクタのみで行う手法を提案する.
近年では, プロジェクタの小型化・モジュール化が進み, 携帯電話への搭載も実現している.
プロジェクタのモバイル機器への搭載は, これまでモバイル機器が抱えていた映像出力サイズの限界を突破できる画期的なアイディアである.
今後プロジェクタ搭載のモバイル機器が普及し, 同一空間において複数人が各人のプロジェクタを利用できる状況が想定される.
そのような状況においてシステム同士が協調し, 映像の重畳表示や投影映像間でのインタラクションなど, 新たなプロジェクタの利用価値が生まれる.
システム間の協調を実現するためには, 各プロジェクタと投影面との幾何関係を明らかにする必要がある.
従来, 複数台の据置型プロジェクタと投影面との幾何関係を明らかにし, 映像の幾何合成を行う研究がなされてきた.
しかしながら, モバイルプロジェクタの場合は据置型と異なり幾何関係が逐次変化するため, 幾何関係をリアルタイムに求める必要がある.
本研究では, リアルタイムで相互の幾何関係をカメラとプロジェクタのみで求め, さらに高精度な補正処理の実現を目指す.
モバイル機器の多くはカメラが搭載されているため, プロジェクタを追加搭載する形で利用できるシステムを開発する.
実装システムについて, 幾何計測精度を検証してシステムの制約, 課題について評価し, 実現性・有効性の観点で議論する.
また, 二台のプロジェクタを利用した映像の重畳表示と映像同士のインタラクションを実装し, プロジェクタとカメラというシンプルな構成で投影型インタラクションシステムが実現可能であることを示した.