モデルベースド制御のためのタスク指向慣性パラメータ同定
高田 宏明 (1051060)
人々が暮らす日常生活環境内で活躍するロボットには,正確性・高速性・コンプライアンス性の観点から,
力学的特性に基づく逆動力学モデルを用いたモデルベースド制御法が有効である.
しかし,一般に剛体リンク系に基づくロボットアームのモデル化ではモデル化誤差の問題があり,
また,剛体リンク系を仮定しないブラックボックス的なシステム同定法では非現実的なデータ数が必要となる.
従来のダイナミクス同定法では,ロボットの関節角度, 角速度, 角加速度からなる
入力空間全体に渡って運動データを収集し,収集した運動データからモデルを
回帰することで入力空間全体をうまく説明するダイナミクスを得ていた.
しかし,実際の使用上ではタスクの実行時(制御時) の軌道に沿った部分空間上だけを考慮すれば良く,
その空間だけをうまく説明するダイナミクスが得られれば良い.
本研究では剛体リンク系のダイナミクスを仮定し,
前述の着想を元に運動データを収集する時の軌道とタスク実行時の目標軌道との違いを共変量シフトと捉え,
入力空間上に投影したそれぞれの入力の頻度から確率密度比を推定し,
集めた運動データに重み付けるタスクを指向した慣性パラメータの同定法を提案する.
シミュレーション実験の結果,モデル同定に要するデータ数が少なく,かつ,
制御性能の良いロボットダイナミクスが得られることを確認した.